お腹の膨満感・ガスによる膨張、およびそれに伴う痛み・違和感、下痢、便秘に苦しむ方へのトピックス
更新情報 2007.7.31ブログ引っ越しました。 新ブログ 2007.8.30 全面的に加筆しました。RIFAXIMINの治験結果の翻訳(要約のみ)をアップしました。抗生物質の国内製品名を加筆しました。SIBOの症状、IBSとの関係について加筆し、重要と思われる論文JAMA. 2004;292:852-858の日本語による要約を掲載しました。 2007.8.31免疫とアレルギー・アレルギー対策のページを作成しました。SIBOの原因を加筆しました。 2007.9.2 Rifaximinの治験結果、SIBOとIBSとの関係、SIBOの診断方法(呼気検査)について加筆しました。 2007.10.3 現在改定中ですが、改定終了までまだまだ時間がかかりそうなので未完成のままUPしました。黄色のところはまだ内容が十分ではありません。
TOP PAGE(index.htm)
はじめに
SIBOって何?
SIBOの症状
SIBOとIBS(Irritable Bowel Syndrome過敏性腸症候群)、クローン病、その他の疾患との関係
SIBOの原因、原因菌
SIBOの診断方法
SIBOの治療法
Medical Resarch Guide(参考文献の活用法)
免責(注意事項・このサイトの正確性について)・本サイトへのリンク等について
ご意見・ご感想をお寄せください。
腸内細菌の分類、SIBO患者の空腸培養から得られた細菌
私の症状・私がSIBOであると確信するに至った経緯など
海外論文情報(日本語訳)
〜各種抗生物質・エレメンタルダイエットの治験結果、耐性菌出現に関する臨床情報、
〜本HPで引用されている論文のうち重要なものの多くはこちらに日本語訳(要約)を掲載してありますので必要に応じてご参照下さい。
JAMA. 2004;292:852-858.の要約(日本語) 「IBSを理解するためのフレームワークとしてのSIBO」
プロバイオティクスとは、プロバイオティクスリスト
Cf.免疫とアレルギー、アレルギー対策
BLOG〜Xifaxan(Rifaximin)服用後の症状の変化・感想など
はじめに
私はもう20年以上も食後のガスによる腹部の膨張及びそれに伴う激しい痛み・倦怠感に苦しんでおり、最近、特に症状が増悪し、社会生活に支障が生じるに至ったため、国立病院・大学病院を含む様々な病院・診療所を回り治療を試みてきました。しかしながら、効果的な治療法はなく、様々な薬も試しましたが効果が感じられるのは大建中湯ぐらいのもので、その効果も十分ではありませんでした。そこで自分でインターネットを使ってリサーチを行い、何か有効な治療方法がないか探してきましたが、国内ではこれといって有益なサイトが見当たりませんでした。
しかし海外のサイトを当たったところ、SIBO(小腸・十二指腸内で一般には繁殖しないタイプのバクテリアが繁殖し、このバクテリアが人間が食べた食べ物を分解し、その過程でガスを発生させ、痛みや張りを生じさせる)という病気があることを知り、まさに自分の症状はSIBOであるという確信を持つに至りました。アメリカや欧州ではSIBOに関する論文が近年、多数発表され、その知見はすでに臨床医療の現場でも広くいきわたっており、実験的ではあるものの、ペットですらSIBOの検査・治療が可能なようです(すでに1970年頃には論文が発表されています)。またIBS患者の症状は、実はSIBOによってもたらされていると考えられる場合が多いと考えられています。
しかしながら、国内の医療機関では開業医や診療所はおろか、国立病院や大学病院でもSIBOの存在は知られておらず、小腸内でガスが発生することはありえないと考えられており、SIBOの診断はおろか、治療など到底困難な状態にあるようです。(現状ではSIBOの患者が病院へ行き、腹部単純レントゲンにより胃・十二指腸・小腸内にガスの存在が認められたとしても、それはすべて飲み込んだ空気が原因であると診断されてしまいます。)
またインターネット上で「ガス 膨満」などをキーワードに検索すると、私と同様の症状で苦しんでいて、様々な病院を回っても解決しないという方が少なからずいらっしゃるようです。(仮にIBS患者の症状のうち10%だけがSIBOに起因すると考えても、このことは容易に想像できます。)
そこで、今まで私がリサーチで得た知識を国内の同様の症状に苦しむ患者及び医療関係者に伝え、SIBOに対する関心を高め、ひいては私を含むSIBO患者の治療を目指すことが必要であると考え、このサイトを開設することと致しました。
私は医学に関して完全に素人であるため、英文サイトを正確に翻訳し、その意味を100%把握することは不可能です。従って本サイトに記載されている内容の正確性を保証することはできません。しかしながら、このサイトが国内において同様の症状で苦しむSIBO患者の治療の手立てになり、国内におけるSIBOに対する治療を前進させる契機になることを期待しています。(2007.7.7)
SIBOって何? (*1)
SIBOとはSmall Intestinal Bacterial Overgrowthの略です。日本語に訳すと小腸内細菌過剰繁殖という感じになります。(もっともここでいうSmall Intestinalには小腸以外に十二指腸も含まれているため、正確には十二指腸・小腸内細菌過剰繁殖と訳すべきと思われます。)SIBOはSBBO(Small Bowel Bacterial Overgrowth)とも呼ばれます。
時の痛みスミス事故 " MRインホフは、DRを見た"
SIBOは日本ではほぼ知られていないようですが、欧米では30年以上前からすでに論文が発表されており、多数のエビデンスにより裏付けられ一般的に治療も行われています。
通常、十二指腸・小腸では食物の移送が速いため、十二指腸・小腸内のバクテリア(細菌)の数は大腸内に比べて、はるかに少なく(1mlあたり10、000未満)、その種類も大腸内のバクテリアとは異なります。そのため十二指腸・小腸内においてはガスの発生は通常、問題になりません。しかしSIBO患者においては十二指腸・小腸内に多数のバクテリア(1ml当たり少なくとも100,000以上)が繁殖し、しかもその種類は大腸内のバクテリアに類似します。(ただし大腸内においては有酸素下では生存できない偏性嫌気生菌が支配的ですが、小腸内においては有酸素下でも生存できる菌が多く見られます。) この繁殖したバクテリアが宿主(人間)が食べた食物を分解・発酵させる過程で、十二指腸・小腸内においてガスが発生します。
これらのバクテリアは有害物質・刺激物質を発生させる可能性があり、またグラム陰性菌の細胞壁に含まれるリポ多糖体は抗原となることが確認されています。そしてこれらのバクテリアに起因する物質が下痢や倦怠感などを引き起こすと考えられます。
現在、水素ガスを発生させるバクテリアとメタンガスを発生させるバクテリアの存在が確認されています。メタンガスを発生させるバクテリアは便秘を主症状とする患者から発見されており、抗生物質でこのバクテリアを根絶した場合に便秘の症状が改善することから、メタンガスを発生させるバクテリアが便秘を引き起こしていると考えられています。
*1 から主に要約。以下同じ。
その他文献(論文)として例えば
Dig Dis. 2007;25(3):237-40.
Small intestinal bacterial overgrowth: diagnosis and treatment.
Spectrum and antibiotic sensitivity of bacteria contaminating the upper gut in patients with malabsorption syndrome from the tropics. BMC Gastroenterol. 2003 May 24;3:9. (原文のBackgroundの部分)
[Small intestinal bacterial overgrowth. An update][Article in Spanish]
Quera P R, Quigley EM,
Rev Prat. 2001 May 15;51(9):964-8 [Chronic bacterial overgrowth in the small intestine][Article in French]
Zh Mikrobiol Epidemiol Immunobiol. 2006 Sep-Oct;(6):57-63.
[Microecological aspects of small intestinal bacterial overgrowth syndrome][Article in Russian]
など
医療関係者向きののサイトとしては次のようなものがあるようです。(ただし投与する抗生物質にテトラサイクリンが上げられていますが、テトラサイクリンは臨床試験では良い成績を上げておらず、やや古い感じがします。)
SIBOの症状
ガスの過剰発生、腹部膨満(食後に悪化する)、下痢、腹痛
少数のSIBO患者においては慢性便秘
体重減少、体の痛み、疲れ・倦怠感
SIBOの症状は慢性的な傾向があり、数ヶ月から数十年にわたって変動します。
栄養失調(脂肪、コレステロール、たんぱく質、炭水化物、脂溶性ビタミン、ビタミンB12、その他栄養素の吸収障害)、
脂肪便(肝臓で作られた胆汁酸(一次胆汁酸)が小腸内細菌により脱抱合、脱水酸化され、二次胆汁酸となることにより生じると考えられる。なお二次胆汁酸には発がん性がある。)
一般的ではないが葉酸欠乏(葉酸は小腸内細菌により合成されうるため、血清葉酸濃度は通常より高くなる場合がある。)
抗血液凝固薬を服用している場合、腸内細菌がビタミンKを作り、凝固薬の作用を阻害する可能性がある。
腸内細菌(グラム陰性菌)の細胞壁に含まれる内毒素(リポ多糖体)が抗原となり免疫機能の活性化(肥満細胞の脱顆粒(ヒスタミンなどのケミカルメディエーターの放出)、サイトカイン産生、腸神経系の反応誘発)を引き起こし、炎症促進物質の産生、下痢、痙性腹痛、さらにはインフルエンザ様症状(倦怠感、不安、抑うつ、認知障害など)を引き起こすことが報告されています。
JAMA. 2004;292:852-858.
この論文の日本語による要約はこちら
その他文献
Donaldson R.M., Jr. Role of enteric microorganisms in malabsorption. Fed Proc 1967; 26: 1426– 1431.
Tabacquali S. . The pathophysiological role of small intestinal bacterial flora. Scand J Gastroenterol 1970; 5: 139– 163.
Bacterial populations contaminating upper gut in patients with small intestinal bacterial overgrowth syndrome. Am J Gastroenterol. 1999;94:1327-31.
SIBOとIBS(Irritable Bowel Syndrome過敏性腸症候群)、クローン病、その他の疾患との関係
1.SIBOとIBSとの関係
SIBOとIBSには著しい類似点があり、IBS患者の症状はSIBOに起因している場合が多いとの主張がなされています。 →詳細はこちら
ピメンテルらが行った治験においてROME T基準に該当するIBS患者202人のうち、78%にSIBOが認められ(LHBT)(*1)、その後に行った治験においてもROME T基準を満たす111人のIBS患者のうち84%にSIBOが認められました(LHBT及びLMBT)。(*2)
他に200人のIBS患者のうち75%がSIBOであったとする報告(ラクツロース-グルコース呼気テスト)(*3)、96人のIBS患者のうち45.8%がSIBOであったとする報告(GHBT)(*4)があります。
そして、SIBOが認められる患者に対して抗生物質を投与した結果、多くの患者においてSIBOやIBSの症状が改善したことが報告されています。
(→詳細は海外論文情報のページをご覧下さい。)
しかし、一方でIBSとSIBOの関連を見出せなかったとする研究もあります(LHBT)。(*5、仮にそうであれば、SIBOと判断されて、抗生物質を処方され、腹部症状が改善した者は、実はSIBOではなかったということになります。とするとSIBOであろうとなかろうと、ある種の抗生物質はIBSや真性糖尿病、手術などを原因とする下痢などの腹部症状を改善させるということになるのかもしれません。)
*1
Pimentel M, Chow E, Lin HC. Eradication of small intestinal bacterial overgrowth reduces symptoms in irritable bowel syndrome. Am J Gastroenterol. 2000;95:3503-3506
*2
Pimentel M, Chow EJ, Lin HC. Normalization of lactulose breath testing correlates with symptom improvement in irritable bowel syndrome: a double blind, randomized controlled study. Am J Gastroenterol. 2003;98:412-419.
*3
Nucera C, Lupascu AM, Gabrielli M, et al. Sugar intolerance in irritable bowel syndrome: the role of small bowel bacterial overgrowth. Gastroenterology. 2004;126(4[suppl 2]):A511.
*4
Minerva Gastroenterol Dietol. 2006 Mar;52(1):89-95.
Small intestine bacterial overgrowth in irritable bowel syndrome: a retrospective study with rifaximin.
*5 Am J Gastroenterol. 2005 Jul;100(7):1566-70. Detection of bacterial overgrowth in IBS using the lactulose H2 breath test: comparison with 14C-D-xylose and healthy controls.
2.SIBOとクローン病との関係
クローン病患者の中には高い頻度でSIBOが見られます。
例えば次の治験(*)ではクローン病患者145名の内29人(20%)がHBTで異常が見られ、メトロニダゾールまたはシプロフロキサシンを投与したところ、SIBOが治療され(HBT正常化)、症状も大きく改善されています。
Aliment Pharmacol Ther. 2003 Dec;18(11-12):1107-12.
Antibiotic treatment of small bowel bacterial overgrowth in patients with Crohn's disease.
Castiglione F, Rispo A, Di Girolamo E, Cozzolino A, Manguso F, Grassia R, Mazzacca G.
3.SIBOと慢性疲労症候群、線維筋痛症、間質性膀胱炎との関係
IBSと慢性疲労症候群、線維筋痛症、間質性膀胱炎には共通性があることが知られています。
ある研究では、アメリカリウマチ学会基準を満たす線維筋痛症患者42人中、42人がSIBOであることが確認されています。SIBOにおける細菌抗原による免疫機能の活性化が線維筋痛症、間質性膀胱炎の一因となっている可能性が指摘されています。
またSIBOが慢性疲労症候群の一因となっている可能性も指摘されています。
JAMA. 2004;292:852-858
SIBOの原因
食物が小腸にないときでも、胃から大腸にいたる消化管の筋肉の運動(蠕動運動/PhaseVMMC)は行われます。蠕動運動は食べ物の消化のために重要ですが、同時にバクテリアを掃除し、小腸内のバクテリアの数を抑制するという点でも重要です。そのため小腸の蠕動運動の邪魔をするものはSIBOの原因となり得ます。例えば神経や筋肉の病気、真性糖尿病、硬皮症(Scleroderma)などは腸の筋肉の運動に影響を与え、SIBOの原因となり得ます。
また小腸の部分的なあるいは断続的な閉塞、憩室Diverticuli /outpouchings)は小腸内における食べ物やバクテリアの移送の邪魔をするので、SIBOの原因となり得ます。(逆にSIBOを治療すると腸の移送速度が速まることも報告されています。)
さらに、胃酸濃度の低下や消化酵素の低下等も原因として考えられます。
SIBOとの関連が指摘されているもの(SIBOの病因となりうるもの)として次のようなものが挙げられる。(ここに掲載されているのは筆者が論文などで確認したものであり、他にもSIBOの病因は存在すると思われます。)
・真性糖尿病
・硬皮症(Scleroderma)
・甲状腺機能低下(Hypothyroidism)による蠕動運動の低下
・短腸症候群(Short bowel syndrome/small intestine insufficiency)
・閉塞、フィステル、狭窄、リンパ腫
・腹部手術の前歴(胃や腸の切除、盲管症候群)
・自律神経の機能不全による蠕動運動の低下
・膵臓,肝臓、胆嚢の障害
・吸収不良症候群(セリアック病、熱帯性スプルー、小腸の寄生虫感染)
*逆にSIBOが吸収不良を引き起こすことも報告されている。
・クローン病
・嚢胞性線維症
・胃酸濃度の低下(Achlorhydria,hypochlorhydria/無酸症、低酸症)
・先端巨大症(acromegalic)
SIBOの原因菌
具体的にどの菌がSIBOの原因であるかについて記載している文献はまだ見つかっていません。
しかしいくつかの研究(*)はSIBO患者の空腸培養によって得られた細菌、及びこれらの細菌の試験管上での抗生物質への感受性を明らかにしています。
→SIBO患者の空腸培養から得られた細菌、海外論文情報
*Bacterial populations contaminating upper gut in patients with small intestinal bacterial overgrowth syndrome.
Am J Gastroenterol. 1999;94:1327-31.
*Spectrum and antibiotic sensitivity of bacteria contaminating the upper gut in patients with malabsorption syndrome from the tropics.
BMC Gastroenterol. 2003 May 24;3:9.
SIBOの診断方法
1.十二指腸・小腸内細菌の量的培養
鼻からチューブを挿入し、十二指腸・小腸内の流体サンプルを取り、これを培養し、数を数える。この方法はたいていの(アメリカ国内の)研究所では一般的な手法ではなく、サンプルを採取できる場所が限定され、またコンタミネーション(混入)の恐れがあるため、通常は研究目的でのみ利用される。
また細菌の過剰繁殖は小腸の遠位部(300−500cmの部位)だけで生じる場合があるため、小腸近位部にしか到達できない内視鏡を使ったバクテリアの培養ではすべてのSIBOを発見できないと指摘されている。JAMA. 2004;292:852-858
空腸内培養の方法は例えば次の論文のMethodの項目に記載されています。
Spectrum and antibiotic sensitivity of bacteria contaminating the upper gut in patients with malabsorption syndrome from the tropics.
BMC Gastroenterol. 2003 May 24;3:9.
Bacterial populations contaminating upper gut in patients with small intestinal bacterial overgrowth syndrome.
Am J Gastroenterol. 1999;94:1327-31.
2.HBT、MBT(Hydrogen Breath Test=水素呼気テスト,Methan Breath Test=メタン呼気テスト)
(1)ラクツロースを摂取した後、呼気に含まれる水素、メタンの量を分析器(通常はガスクロマトグラフ)で分析します。ラクツロースは人間によっては消化されず、バクテリアによってのみ消化される糖です。よって非SIBO罹患者がラクツロースを摂取した場合、ラクツロースは消化・分解されずに結腸に到達し、結腸内のバクテリアに分解され、その時に水素(またはメタン)が生成されます。そしてこの水素が腸壁から血液に吸収され、その後、肺から呼気として排出されます。これに対し、SIBO罹患者がラクツロースを摂取すると、大腸内のバクテリアによってだけでなく、十二指腸・小腸内のバクテリアによってもラクツロースが分解され、水素が生成されます。従ってSIBO罹患者においては呼気テストにおいて水素が2つのピークを示して検出されます。これに対し非SIBO罹患者においてはピークは1つとなります。(より詳しいHBT手順については
を参照)
ラクツロースを使った呼気検査(LBT)の他に、ブドウ糖(グルコース)を使った呼気検査(GBT)もあります。
ブドウ糖は早く吸収されてしまうため、GBTでは十二指腸や近位の空腸におけるSIBOしか発見できず、実際のSIBO患者よりも少ない数しか発見できないと指摘されています。一方、ラクツロースを用いた場合、腸の移送が速い患者(特に下痢型の患者)の場合に誤ってSIBOであると判断されてしまい、実際のSIBO患者の数よりも多い数が発見されてしまうという指摘があります。とは言え、GBTは様々な治験で用いられています。
*例えばthe American Journal of Medical Science Vol333(5),May,2007,P266-270)では次のようなGBT手順で呼気テストを行っています。
低炭水化物で吸収性の良い晩御飯を摂取した後12時間絶食、テスト前1時間は禁煙・禁運動、テスト前に1%クロルヘキシジン40mlで口腔洗浄→呼気検査(ベースラインのガス濃度測定)→150mlブドウ糖液(50gブドウ糖)摂取→30,45,60,75,90分後に呼気検査(ガス測定)
↓
ブドウ糖摂取前のガス濃度(メタン、水素)が10ppm未満の場合は、摂取後のガス濃度が20ppmより大きければ異常あり(陽性)。ブドウ糖摂取前のガス濃度が10ppmを超える場合は、摂取後のガス濃度が[初めの濃度+12ppm]を超えると異常あり(陽性)。
他に14C-D-xyloseを用いた水素呼気テストがあるようで、14C-D-xyloseを用いた方がグルコースよりわかりやすいというレポートがあるようです。(AM J Gastroenterol2005 100 1566-70)。ただしこの点については議論があります。
(2)HBTはアメリカにおいて300ドル程度で実施されているようで、また簡易な検査キットも存在するようです。HBTで検査できるのは糖質を分解して水素を生成するタイプのバクテリアが存在する場合に限られ、小腸内の移送が速い患者(Patients with abnormally fast small bowel transit)の場合には正確に検査ができないなど、一定の限界が指摘されています。さらにある研究では空腸内細菌培養の手法の17%の感度しかないと報告されています。
従ってSIBOの診断にはHBTの利用だけでなく、食後の膨満・不快感、軟便などSIBOの症状と照らして行うことが重要となるようです。
*Treatment for Bacterial Overgrowth in the Irritable Bowel Syndrome. Annals of Internal Medicine 2006 145 628-9、
*The lactulose breath hydrogen test and small intestinal bacterial overgrowth. Am J Gastroenterol. 1996;91:1795-803、
*diagnosis of small bowel bacterial overgrowth. Reliability of jejunal culture and inadequacy of breath hydrogen testing. Gastroenterology. 1990;98:302-9
*国内では(株)呼気生化学栄養代謝研究所が受託呼気検査を開始されており、呼気検査を受けることができます。
株式会社 呼気生化学栄養代謝研究所
Tel :0742-61-6266 Fax : 0742-61-6276
kokides/span>
3.その他のテスト(詳細不明、間接証拠となるものと思われる)
Tests of bile salt deconjugation(胆汁酸塩の脱抱合化テスト?)
In vitro deconjugation assessment(試験管における脱抱合化の評価?)
Tests of malassimilation(消化不良のテスト?)
Vitamin B12 (Schilling test)(ビタミンB12シーリングテスト?)
SIBOの治療法
現在アメリカにおいて行われている治療方法は抗生物質でバクテリアを根絶し、プロバイオティクスを処方するというのが一般的ですが、SIBOの治療法は未だ確立にされていない状況にあり、様々な治験の結果を反映しつつ、実験的な治療法が行われている状態にあります。またあまりSIBOの治療法として一般化していないようですが、エレンメンタルダイエットがSIBOの治療に効果的であったとする論文があり、興味を引きます。
1.抗生物質によるバクテリアの根絶
この抗生物質を処方すればすべてのSIBO患者のバクテリアを根絶できるというものは、残念ながらまだ見つかっておらず、また根絶できたとしてもその状態が抗生物質の服用を中断した後も永続的に続くかについては十分な研究がなされていません。このようになお抗生物質による治療は実験的であるものの、MEDICINENET.COMでは次のような処置のオプションを提示しています。
MEDICINENET.COMにおける処置オプション
・ネオマイシン(経口)(ジェネリック) 10日
(ネオマイシンはメタンを生成するバクテリアを根絶して便秘を軽減することが観察されている。)
・レボフロキサシン(国内製品名クラビット)またはシプロフロキサシン(国内製品名シプロキサンなど)を7日
・メトロニダゾール(製品名フラジール)7日
・レボフロキサシン及びメトロニダゾール7日
・RIFAXIMIN(製品名XIFAXAN)7日
*最近の治験ではシプロフロキサシン(500mg1日2回、10日間)、メトロニダゾール(250mg1日3回、10日間)、リファキシミン(400mg1日3回、14日間)などが比較的良好な結果を残しているようです。最近の抗生物質を使った治験結果の要約(日本語)は海外論文情報をご覧下さい。
2.プロバイオティクスによる処方
様々な生菌製剤がIBSやSIBO患者に用いられてきましたが、その効果は実証されていません。ただBIFIDOBACTERIUM INFANTIS 35624という種の生菌(ビフィズス菌の一種)はLactobacillus Salivarius UCC4331(乳酸菌の一種)との比較試験において IBSの治療に効果があったことが唯一実証されています(*3)。
→プロバイオティクスとは、プロバイオティクスリスト
*3 Am J Gastroenterol 2006 101 1581
Gastroenterology 2005 128 541-551
*BIFIDOBACTERIUM INFANTIS 35624はBIFANTISという商標で登録されており、P&GがALIGNという商品名で販売していますが、アメリカ国内で通信販売によってのみ販売されているようで、日本から入手するのは難しいかもしれません。 ビフィズス菌を成分とする整腸剤は日本でも販売されていますが、菌種が異なるようで、効果があるかはわかりません。 (一部の国内のビフィズス菌製剤については菌種が公表されていますが、今のところ確認できているものはBifidobacterium bifidum,Bifidobacterium breveという種を成分としています。) また国内で販売されている整腸剤のSIBOやIBSに対する治験のデータも今のところ見当たりません。
3.エレメンタルダイエットによる治療
多くの論文や医療関係書はSIBOの治療として抗生物質を基本として考えているようですが、エレメンタルダイエットが細菌の過剰繁殖を抑制し、SIBOを治療することは以前から知られているようです。
Pimentelらが行った治験(*)ではSIBOが認められるIBS患者が14日または21日間エレメンタルダイエットを摂取した(他の食事もコーヒーもガムも清涼飲料も禁止)ことにより85%でHBTが正常化し、症状も改善されたと報告されており、非常に良い結果が得られています。
*Dig Dis Sci. 2004 Jan;49(1):73-7.
A 14-day elemental diet is highly effective in normalizing the lactulose breath test.
Pimentel M, Constantino T, Kong Y, Bajwa M, Rezaei A, Park S.
Medical Resarch Guide(参考文献の活用法)
本サイトには、もとの文献に当たっていただけるように、できる限り参照した文献名を記載しております。
例えば「Annals of Internal Medicine 2006 145 628-9」と記載されている場合、これはAnnals of Internal Medicineという2006年に発行された医学雑誌のVolume145の628-9ページを意味します(CITATIONっちゅうやつですね)。
そして直接、医学部図書館などで文献を探すか、文献(雑誌)名をキーワードにしてインターネット検索し、文献(雑誌)をネット上で掲載しているサイトを見つけることで、当該論文の原文もしくは要約にあたることができます。特にPubMedというデータベース( )は効果的に文献を探すことができるのでよく利用されます。PubMedの使い方について説明するサイトが多数あるようですのでそういったサイトをご覧いただくとわかりやすいかもしれません。
雑誌の原文(FULL TEXT)や要約(MEDLINE ABSTRACT)を掲載しているサイトについていくつか挙げておきますので、ご利用下さい。一つ文献に当たると、後はREFERENCEをたどっていけば、芋づる式で色々な文献に当たることができます。
Aliment Pharmacol Ther→
Blackwell Synergy - Alimentary Pharmacology & Therapeutics
Annals of Internal Medicine→
でPAST ISSUESから探し出す。
Am J Gastroenterol
でSEARCH[PUB MED], FOR[Am J Gastroenterol. 1996 91 1795-803]などの条件を入力して検索する。
また本サイトにおいて何の文献(Refference)の記載もない場合は、medicinenet.comやインターネット上の医学事典の情報に基づいている場合が多いです。特にmedicinenet.comのSIBOに関する記事は包括的で詳しく書かれていますので、最初に読むにはお勧めです。
Medicinenet.com→
Medicinenet.comのSIBOに関する記事→
医療関係者向きののサイトとしては次のようなものがあるようです。(ただし投与する抗生物質にテトラサイクリンが上げられていますが、テトラサイクリンは臨床試験では良い成績を上げておらず、やや古い感じがします。)
国内サイトへのリンク
・消化器イラスト
・乳酸菌とは〜(社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会
・(社)全国はっ酵乳乳酸菌飲料協会 学術情報
・家庭の医学、薬検索
免責(注意事項・このサイトの正確性について)・本サイトへのリンク等について
「はじめに」にも記載しているように、このサイトの情報は主に医学素人の私が複数の海外のサイト・医学論文を翻訳し、要約したものです。 また参照した論文自体も研究の進歩により陳腐化していく性質のものです。 また本サイトはできるだけ客観的・科学的な根拠に基づく資料をもとに作成していますが、専門家の科学的な判断に基づかない私の主観的判断も一部含まれています。
従って本サイトの正確性については一切、保証しかねます。またこのサイトの情報を信じたことにより生じた損害、その他このサイトに記載された情報に起因する損害について筆者は一切責任を負いません。
なお、このサイトの記載にはできる限り参考にした文献を挙げておりますので、より正確を期すためには、できる限りもとになっている文献に当たることをお勧めします。
原則としてこのサイトへのリンクやこのサイトの紹介はご自由になさっていただいて構いません。
その際、ご一報いただければうれしいですが、特に筆者にご連絡いただく必要もありません。
ただし、本サイトに記載されている海外メーカーの薬や生菌製剤の販売・個人輸入代行を業として行っている方のリンクはご遠慮下さい(薬事法68条に抵触する怖れがあります)。
また本サイトの記載内容につきましても自由にコピー&ペーストして使っていただいて構いません。ただしこの場合は、本サイトのURLを付記して下さい。
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sibowebsit/span>
[PR] 特許事務所
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